プレーオフファイナル第3戦

〈2001・4・5 コクド-雪印

《サントリー東伏見アイスアリーナ》 〉

1

2

3

延長

TOTAL

コクド

0

3

1

4

SHOOT

9

9

11

29

雪印

1

1

1

3

SHOOT

13

10

9

32
 GK コクド   1岩崎     雪印    35ラム      <得点経過> 1P. 10:21 雪印 27斉藤(順)(アシスト 35ラム 21キムラ) 2P. 3:44 コクド  12内山(朋)(アシスト 18鈴木 9片山)    2P. 7:48 コクド  75ユール(アシスト 71桑原 30八幡) <パワープレーゴール> 2P. 10:45 雪印 42磯部(ノーアシスト) 2P. 12:27 コクド  75ユール(アシスト 71桑原 9片山) <パワープレーゴール> 3P. 7:31 雪印 91フィガルーチ(アシスト 77小友 22キャラー) <パワープレーゴール> 3P. 11:24 コクド  12内山(朋)(アシスト 39三浦 16坂井))                                                        ※記録で間違い等ありましたら、ご指摘頂ければ幸いです。
             ファイナル第3戦は、勝敗の帰趨が最後まで分からない、今季を
            締めくくるにふさわしい好ゲームとなった。
             先制したのは雪印。第1ピリオド、後がない雪印は、本来の気迫
            を取り戻し、再三コクドのゴール前に攻めこむ。そして、キルプレ
            ーを耐えた直後の第1ピリオド10:21、斉藤順嗣のゴールが決まっ
            た。1-0で第2ピリオドに入る。
             コクドの第2ピリオドはキルプレーから始まった。更にペナルテ
            ィが重なって5対3となった大ピンチを、コクドは八幡の素晴らし
            い守りなどもあって切り抜ける。
             そしてキルプレーが終わった50秒後の3:44、鈴木の出したパスを、
            ゴール前につめていた内山朋彦が押し込んだ。同点である。
             なおもコクドは攻める。7:48、好調のユールがパワープレーゴー
            ルを決め、2-1となり、ついに逆転。
             しかし、この日の雪印はなおも執念を見せる。9-1で大敗した
            第2戦、唯一の得点を挙げたゲームキャプテン磯部が、10:45にゴ
            ール。2-2である。
             2分経たないうちに、またもコクドのユールがパワープレーで得
            点。ユールの勢いは止まらない。3-2でコクドがリードして、波
            乱の第2ピリオドは終わった。
             だが、そのままで済む試合ではなかった。第3ピリオド、コクド
            は、4:39からのキルプレーは川口のいい守りもあって乗りきるが、
            7:07からのキルプレーは守りきれない。小友のアシスト、フィガル
            ーチのゴールによる、雪印の意地の得点。
             好勝負を制したのは、コクドの美しいゴールだった。このファイ
            ナル、冷静な守りでひそかにチームを支えた三浦の完璧なアシスト
            に、内山朋彦が持ち味のスピードで飛びこむ。鮮やかに優勝を決め
            るゴールを、GKラムの守る雪印のゴールネットに突き刺した。
             一年前、同じ東伏見で、喜びの西武を前に動けないコクドに無情
            に落ちてきた紙テープが、自陣ゴール近くで歓喜の塊となった彼ら
            に、晴れがましく降り注ぐ。
             この日2得点、MVPのユールに、試合後話を聞いた。
            ―今季、あなたが前より良いプレーをしているのは、何故ですか
            「分からないけど、結婚した妻のおかげかもしれません」
            ―あなたとコクドは、長いあいだこの優勝を待っていました。どう
            感じていますか
            「今日は、みんなにとって特別な日です。僕たちは全日本(選手権)
            で負けました。優勝を逃すとどんな思いがするか、僕たちは知って
            いるんです」
             プレーオフを6連勝して無傷で制し、圧倒的な強さで優勝したコ
            クドを支えたのは、昨季の全日本選手権、日本リーグ、今季の全日
            本選手権と、三回続けて味わった、栄冠が目の前で持ち去られる痛
            みの記憶なのではないか。
             春の東伏見の氷に降る、紙テープの雨。コクドにとって今年のそ
            れは、去年とは全く違う、歓喜の光景となった。

            ★ 内山朋彦
             「あ、そうなんすか。聞こえてなかったです」
            コクドの応援席で起こった内山コールは、本人の耳には届いていな
            かった。
             今まで見たコクドでの試合のなかで、最高のプレーを披露した。
            内山自身、「気合いが入りすぎた」と言う第1ピリオドを終え、第
            2ピリオド早々に同点ゴールとなる1点目。内山のかたちとして定
            着しつつある、ゴール前へ入り込んでのゴールで得た自信が、その
            後も得点の予感を抱かせる冴えた動きとなって現れる。
             そして決勝点となった4点目のゴールは、内山のスピードが生ん
            だ、素晴らしいゴールだった。ルーキーだった昨季のプレーオフフ
            ァイナル第4戦、一度も氷に乗ることなく、西武の優勝を目の前で
            見た。同じ東伏見で、一年後、21歳になった俊足FWは、そのスピ
            ードによる決勝点で、コクドの優勝を決めた。
            ―今シーズン、どこが自分で成長したと思います?
            「レギュラーシーズン(試合で、短い時間しか)出られなかったこ
            とがあったんで、はい。やっぱり、開き直って、ふてらないで練習
            してたことが、良かったんじゃないですか」
            ―これからの選手生活の中で、この優勝はとても大きいものになる
            と思いますが
            「そうですね。最高です」
             「最高」の結果を生んだのは何か。その答えは、滞氷時間が短く
            ても体力を落とさないため、試合後内山朋彦がいつも長時間漕いで
            いた、バイクが知っている。
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